怒鳴りスルーを達成した
自分でも不思議だと感じたことがあった。
朝から完全に八つ当たりみたいな怒鳴られ方をされた。しかし私は、その最中の受け答えも、終わったあとの気分も、いつもより落ち着いていた。しかも、若干の笑みを浮かべる余裕すらあった。おかげで、怒鳴られた後でも、普段と変わりない心持ちで仕事を進めることが出来た。
だが、これは何故だろうか。ついに心がマヒでもしたんだろうか。まあ、気分に障害が出ないのは良いことだ。何故なら、いつもの私なら、怒鳴られたことをズルズルと気にしてしまい、それを理由にその日の仕事に例外なく支障をきたすからだ。しかし、そういう負の感情が、今日は無かった。理由はよく分からないが、気分がいい。
それにしても、驚いた。経営者側から我々従業員に向かって「俺はお前達の奴隷か?」と言い放つとは。心の中で笑ってしまった。そんな余裕をも感じた1日だった。1日が終わる今、振り返っても実に不思議だ。
落ち着ける環境づくり
今は日曜日の夜だ。普段と変わりなくパソコンデスクで読書をしていたのだが、何となしに自分の部屋を「出来る限り暗く静かにしよう」と思いついた。そこで、パソコンと明かりを消して、買っておいたロウソクに火を灯して読書を再開した。
その効果はかなりのものだった。集中力が段違いだ。パソコンの前に居ると、どうしてもそちらへ注意が向く。ファンの音も常にするので気が散るといえば散る。だが、それをなくしてしまえばそちらへ注意を向ける力も不要になる。とても良い環境だった。
読書を目的としなくても、この環境に身を置く事は理想だなと思ったので、ロウソクの明かりだけで過ごしていたときのことを少しメモしておいた。
- 虫の声がほどよく聞こえる
- そよ風が入ってきて気持ちが良い
- 月がとても明るい
- TVもPCも蛍光灯もOFF、明かりはロウソクだけ
- 時折電車の音が聞こえるがさほど気にならない
- 隣人の生活音がする
- すぐそばが大きな国道なので窓を開けていると車の音が耐えない
ざっとこんな感じだ。そんな部屋(車の音の理由で窓を閉めたためそよ風無し)で、座布団に座り、足を伸ばし、腕を机に預け、眼を閉じるかロウソクの灯をボンヤリと見ると、あらゆる雑念を忘れて非常に落ち着いた気分で過ごしている自分を感じられた。日曜日の夜によくあるストレスとは無縁の心理状態になれた気がした。
そしてロウソクが消えてから分かったが、月明かりとはこんなにも明るいものだったのか。普段意識していない所から癒しを得られたのであった。いずれこのように、ストレスと絶縁し、自然に目を向けられ、雑音が少ない静かな環境に身を置きたいものだと思った。
だが、そんな環境下で読んでいた本は、文春新書の「サイコパス」だ。
引き留めが逆効果な後輩の話
今まさに、会社を辞めようとしている後輩がいる。新卒で入った人で、まだ3年は経っていないが、その若さゆえに引く手は数多だろう。実際に、次の働き口も決まりそうな状態での退職。私としては、彼は良い判断をしたものだと思う。
しかし、会社側は彼の退職を許さない。これまで幾度となく辞意を伝えているものの、様々な人間からしつこく引き留めを食らっているようだ。彼から聞いた話では
・まだ早いんじゃないか
・「向いてない」と言うが、ここは色んなことやってるから
・新しく○○部で頑張ってみないか
・まだ会社に対して何の恩も返せていないだろう
等々、数字の出ないフワッとした言葉で何度も引き留められているようだ。上に挙げたもののうち、一番下は私にとっては意味が不明だ。(大した奉公もないのに)いったい何に対して恩を返すと言うのか。
どうも、違う部署への異動を勧められたあたり、やめる理由について勘違いをしている輩もいるようだ。会社内で異動すれば解決する問題ではない、ということが伝わっていないのだろう。確かに、あまり角を立てるような言い方をすると後になって何をされるか分からないから、伝え方が抑え気味になるのも仕方ない。
当の彼は、やはりと言うべきか、そんな引き留めを受けても決心は固い。むしろ、引き留められる事によって「早く辞めたい」という気持ちがどんどん強くなっているようだ。その引き留めが会社にとって完全に逆効果に向いている。それを執拗に受けるのだから、この引き留めが彼にとってはプラスに働いている、と言えるのかもしれない。
「サッと退職願受け取ってもらえりゃそれで良いんですけどね」とは彼の言葉だ。その通りだ。お互いに時間を無駄にしない。後継者を探すのは完全に会社側の仕事だ。気持ちが固まったならば、早くこの場を去って、もっと開放的な人生を歩んで欲しいと思っている。